塔とオノマトペ

狭小敷地に、地下1F地上5Fの6層、メゾネット1戸フラット4戸の5住戸という細長いSOHOをつくる計画。この身体にまとわりつくようなスケールの一方で前面道路は33メートルと広く、環境スケールと身体スケールを横断する建築が求められました。  小さい敷地ゆえ、そのサイズが建築のサイズにもたらす影響がとてもたくさんあり、施工方法・法規解釈・設備配管経路などがすべて建築の建ち現れ方にダイレクトに結実してしまう。周辺環境と身体と構造が横断的に展開していく建築を考えるためには、設計序盤からそれらすべてを同時に考慮し合体させながら組み立てていく、小ささが生み出す生々しい動的な迫力と、各エレメントが一人何役も担わなければならない多様に絡み合った集合性が予想されました。  設計の最重要ツールとして模型を活用し、はじめに50分の1の環境模型にて周辺スケールや都市エレメントに対しての建築サイズを把握した上で、20分の1の架構スタディ模型で施工方法をふくめて建築の組み立て方を模索し、15分の1の本体模型を作って場の質や使われ方、身体スケールでものや領域がどう現れてくるかの検討をし、10分の1から1分の1のたくさんの部分模型により実際のモノの納まり方・現れ方を検討していく、という進め方をしています。  細長い塔状の建物では、1層ごと時間ごとに、断面的にも平面的にも周辺環境との関係性が刻々と変わり、言葉では表しにくい、オノマトペのように多種類多様で感情的な、場と身体のコミュニケーションが繰り広げられる。そして、洋服のように小さいからこそ、内側の機能性や快適性・素敵さが、そのまま外に現れてくるという、内部の様相が立面に直結するおもしろさがあります。このおもしろさが、身体スケールや建物スケールにとどまらず、最終的に環境スケールでのおもしろさにもまたつながっていくと、より大きな全体性を獲得できるのではないかと考えています。

用途:SOHO

主構造:S造

建築面積:19.08㎡

延床面積:99.01㎡

撮影:原田雄次

building use:SOHO

structural system:steel

building area:19.08㎡

total floor area:99.01㎡

Photo:by Yuji Harada

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