人間のための家具(furniture for people)ではなく、人間による家具(furniture by people)、の提案。家具を道具・モノとして捉えるのはもちろん、他愛もない出来事の集積である日常生活、それ自体を、家具によってどのように領域化することができるのか、という試みでもあります。
この家具は、人間がいて、生活にまつわる多種多様なモノが置かれることにより、領域の伸び縮みが発見され、
誰が使うのかによって、何通りもの具体的な物語を紡ぎ出すことができます。
閉ざされた部屋の中に居場所の核をつくるのではなく、置かれたその場所にコンテクストを生み出す、オープンエンドな環境としての家具であること。
また、人間が本来持っている、場を設え、場の質をつくり、育てるパワーを呼び起こす家具となることを目指しました。
かつての日本の民家は、紙や布といった弱々しく、より身体に近くて洋服のように軽いテクスチャから、土や石といった平滑ではない、荒々しい野生のテクスチャまで、多種多様な材料を適材適所にあてがい、組み立てられていました。
視覚だけでなく、五感を通して、そこに生きる人間の生活や領域を下支えしていました。
今回提案する家具も、多様なテクスチャの材料に、均一ではないデコボコな納まりをあえて用いながら組み立てています。
用途:家具
主構造:木造
building use:furniture
structural system:wooden
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